RNAウイルスとDNAウイルスの違い

　
　我々人類を含めた動物や植物などの身体は、細胞の集合体から構成されています。その一個一個の細胞の中には、遺伝情報を含んだ物質が詰まっています。その遺伝情報の種類に、DNAやRNAといった名前の物質があります。

　動物や植物の細胞は、常に二本鎖のDNAから構成されています。一方、ウイルスには様々な種類があり、それを構成する遺伝情報の形態から、大まかにDNAウイルスとRNAウイルスとに分類されます。こういった分類に照らし合わせて、発見されたウイルスがどういった種類のウイルスなのかをあてはめていきます。

　B型肝炎ウイルスは、不完全二本鎖のDNAウイルスと分類されました。（ウイルス学的にはかなり特殊なウイルスです。）また、C型肝炎ウイルスは、一本鎖のRNAウイルスと分類されました。これらのウイルスは人に感染した後、それぞれの遺伝情報から特殊な蛋白質を合成し感染していきます。

　このように、RNAウイルス、DNAウイルスといった名前は、ウイルスの素性を示す名称と理解してください。患者さんが、日常の診療でウイルスの違いを自覚することはまずありません。しかし、ウイルスの増殖をブロックするような治療の開発には、欠かせない基本的な知識です。