薬剤師から見た
たばことくすり・体への影響
 WHO(世界保健機構)はたばこ関連の死や疾病を減らすため、タバコ規制枠組み条約の草案を作成しました。日本医師会もまた禁煙キャンペーンを実施しています。
 この動きを受けて当院でも禁煙指導をはじめました。院内にたばこの害を示すポスターの掲示や、禁煙啓蒙のパンフレットを置く等して、なるべく多くの方にたばこについて考えていただくようにしました。また、薬剤師による個別指導もおこなっておりますので、まず医師にご相談ください。

〈たばことくすりの関係〉

 たばことくすりの相互作用を気にしたことのある人はあまり多くはないでしょう。しかし、鎮痛剤・安定剤の一部、インスリン、テオフィリン(喘息薬)などは効き目が悪くなることがわかっています。また、胃潰瘍の再発率を見ると禁煙した人は抗潰瘍剤を飲む飲まないに関わらず1516%の再発率、喫煙を続けた人約50%の再発率というデータもあります。胃潰瘍の再発防止に関していうと「くすりを飲むよりも、たばこをやめること」が、より重要です。

〈たばこは老化促進剤〉

 たばこの害は肺がんだけではありません。身体にさまざまな影響を与えます。たばこの煙には有害成分がたくさん含まれています。たばこを吸う本人だけでなく、煙を吸わされる周りの人にも影響は重大です。

@呼吸機能が落ちる
 40代の喫煙者の呼吸機能と70代の非喫煙者の呼吸機能は同じくらいです。
A血管が老化する(善玉コレステロールが減少する)
 高血圧・心臓病・脳卒中・痴呆などを引き起こす
B肌荒れ・しわが増える・はげやすい
C骨がもろくなる(骨粗鬆症になる)
Dインポテンツ・月経不順になりやすい
E歯周病にかかりやすい
 歯を失ったり、口臭の原因になる


〈たばこを吸わないメリット〉


@たばこにしばられない人生をおくれる。禁煙席にも座れます。
A子供の喫煙を防止する
B火の不始末がない
Cたばこ代がかからない

〈ニコチン補充療法とは〉


 ニコチン補充療法は、禁煙後にあらわれる禁断症状に対して、ニコチンを喫煙以外の方法で体内に補給し、その症状を軽減させることでたばこ離れを進めます。吸いたい気持ちを抑えるために非常に効果があります。現在、日本では貼り薬とガムが使われています。

 貼り薬は医師の処方箋により調剤薬局で購入できます。ガムは町の薬局で購入できます。

 毎年5月31日は“世界禁煙デー” です。WHO(世界保健機構)が「世界の人に喫煙と健康問題の認識を深め、適切なたばこ対策を求める」ことを目的に1987年に制定したものです。さあ!この機会に禁煙を始めましょう!今まで忘れていた気持ちのよい生活を取り戻してください。そして、あなたの大切な人にも是非禁煙をすすめましょう!
(薬剤師 佐藤博子)