アガリクス(β-グルカン)などの
「抗ガン作用」は本物か


 抗ガン作用が認められたと称して売り出されている民間健康食品(その実は薬理効果を謳っている)はβ―グルカンを成分とするアガリクス、メシマコブ、カワラタケなどのキノコ類を原料にしたものである。かつて、抗ガン剤として保険適応になり、製薬会社に巨額の利益をもたらしたクレスチンはカワラタケから分離したβ―グルカンを主成分としたものです。今は、効果の再評価後せいぜい化学療法の補助として認められているにすぎません。試験管内でガン細胞に何らかの抑制作用を見たからと、今更β―グルカンの抗ガン作用を売り物にして、しかも医薬品ではなく、食品であると手品のごとき商売が隆盛とはあきれてしまいます。

 伝統的な漢方製剤のほとんどは薬草を成分としていて、キノコ類としては猪苓や茯苓に含まれるカワラタケだけでした。漢方製剤の成分は高価な薬草ですが、健康食品の多くは路傍に生えていたり、農家で手軽に栽培される安上がりの代物で、宣伝でイメージをつくり、高く売りつけています。くれぐれもご用心。
 (A)