C型慢性肝炎の患者さんに対してインターフェロンがウイルスの排除を目的とする唯一の治療薬です。インターフェロン治療の効果判定は投与が済んで6ヶ月目かそれ以降に行います。効果判定は次のように分けられます。
著効・血液の中にウイルスが検出されず、肝機能検査(主としてGPT)が正常であるとき
有効・血中にウイルスは再出現しているが肝機能検査は正常が続いている状態
無効・治療前と同じ状態
【インターフェロン単独療法】
初回治療成績・わが国で治療経験の多い虎ノ門病院の成績を参考にします。虎ノ門病院の治療は最初8週間連日インターフェロン600万単位を注射し、その後週間は週3回の注射というスケジュウルです。当院の2週間の連日、週間の間歇投与より総投与量が多くなります。虎ノ門での979名の患者さんの著効率は35%でした。
遺伝子型別成績・遺伝子型1B(セロタイプ1)のウイルス感染ではインターフェロンの効きが悪いことは知られています。虎ノ門病院でのデーターでこのグループの患者さんは618名で全体の63%を占めています。これが日本でのC型肝炎の実態です。この患者さんでの著効率は20.5%でした。しかし、ウイルス量の多い患者さんだけでは著効率はわずか9.4%でした。
【従来型インターフェロンとリバビリン併用療法】
1998年にインターフェロン(イントロン)とリバビリンの併用療法の成績が報告され、ウイルス量の多い遺伝子型1Bを持つ患者さんで、著効率は24週間投与16%、48週間投与28%で、併用療法が優れていることがわかりました。
【ペグインターフェロンの登場】
これまでのインターフェロンをポリエチレングリコール(PolyEthylene Glycol=
PEG)で包み込んだペグインターフェロンがつくられました。従来のインターフェロンは血液の中に入っても24時間以内に血中から消えてしまいますが、ペグインターフェロンは現在二つの製剤(商品名ペグイントロンとペガシス)があり、それぞれ80時間と160時間血中にインターフェロンがとどまっています。このため、ウイルスの排除に、より効果を発揮しますし、注射回数も週1回ですむ利便性があります。
ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法の成績は2001年に報告がだされました。ペグインターフェロンの量を高用量、低用量のグループに分けてリバビリンとの併用療法と、高用量のペグインターフェロン単独治療を行ったところ、遺伝子型1Bで、リバビリンを併用した群でのウイルス排除率は高用量、低容量それぞれ46%、36%でした。これに対して併用しなかったペグインターフェロン単独群では21%にとどまりました。さらに2002年にはペグインターフェロンとリバビリン併用により肝臓の線維化が改善されることもわかり、今後肝硬変の治療にも希望がもてるようになりました。
今回、保険採用に際して明らかになった日本での併用量の成績は254人の患者さんの内、初回治療では43.1%、インターフェロン単独治療後、再燃した人では62.6%と高い著効率でありました。
このように現在、インターフェロン・リバビリン療法は世界中で、C型肝炎治療の標準治療法と位置付けられています。わが国でもこの年末には保険に採用されることになりました。C型慢性肝炎はペグインターフェロンとリバビリンの併用を核に十分な期間と十分な量を使うならばさらに多数の患者さんのウイルスを排除できると考えられます。
(相川 達也)
|