肥満、ことに内臓肥満、X症候群、メタボリックシンドローム、死の四重奏などと呼ばれている糖尿病、高血圧、高脂血症など複数の危険因子をもつようになると、その到達点は動脈硬化症です。動脈硬化症は狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの血管障害のベースとなっていて、その死亡率は全体の死亡率の30%を占め、ガンの死亡率と肩を並べています。しかも、いったん発症しますと死亡を免れても、生涯、生活の質が低下し後遺症に悩まされます。 内臓脂肪蓄積を知るのには、体重(kg)÷身長(m)の自乗で計算するBMIで、25をこえる状態より類推するようにしていますが、最近は、ウエスト周囲をはかります。ウエストを測るには、立って軽く息を吐いて止めた状態で臍の高さで巻き尺で測ります。男性85p以上、女性90p以上を内臓脂肪蓄積の状態と判定します。 動脈硬化を防ぐためにはそれの発症と関係する危険因子を日本人で具体的に証明された根拠をもったデーターに基づいて、数値をきめる努力が払われています。 日本動脈硬化学会では2002年に動脈硬化を心筋梗塞などの冠動脈疾患を起こす危険因子として、年令、血清脂質、高血圧、糖尿病、喫煙をあげて、それの関わりの程度で6段階の管理カテゴリーを公表しています(図1)。 ![]() このカテゴリーで、冠動脈疾患の危険因子がないものに比べ、危険因子数が1,2,3,4、5個ではリスクはそれぞれ、2,4,8,15,31倍と増加することが認められています。 いくつかの調査によれば総コレステロール240mg/dl以上あるいはLDLコレステロール160mg/dl以上、中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl以下などで脳血管障害の危険が増大しています。 各カテゴリーに応じた管理目標値が設定されていて、コレステロールの値でも一律に基準があるわけではありません。喫煙習慣のある人はない人に比べ3.5〜4倍、糖尿病のある人はない人に比べ2〜6倍の心臓疾患の危険があります。それ故、管理目標値は厳しくとることにしています。 高血圧の分類は7段階に分けられこれを参照しながら、血清脂質の管理基準が決められていきます(表1)。 ![]() さらに糖尿病のコントロールの指標(表2)に基づいた管理を行いながら動脈硬化の予防対策を立てます。 ![]() 動脈硬化が進まないようにするには食事と運動の生活習慣をみなおしていきます。運動の強度は脈拍数138マイナス年令の1/2程度、運動量は1日30〜60分、週3回以上、種類としては速歩、ジョギング、水泳、サイクリングなどとそれに準じた各人の出来る運動を推奨します。 日常生活の中に動脈硬化予防の対策を織り込んで、さりげなく健康維持を図って下さい。 |
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(相川 達也) |