総選挙終了後の10月19日に厚生省が初めて発表した「医療制度構造改革思案」は患者と高齢者にさらなる負担を強いるものとなっております。それに対し日本医師会から「誰もが安心して良い医療を受けられるよう国民皆保険制度を守る」署名運動への協力要請がありました。 私は健康保険制度があるのは当たり前のように生きてきました。しかし、いざという時に安心して医者にかかれるように、すべての人がいずれかの医療保険に加入する「国民皆保険制度」が達成されたのは昭和36年だそうです。45年前でしかありません。健康保険料、患者負担増の計画の中に保険免責制度で風邪や腹痛などの低額な医療は全額患者負担になる案や風邪薬、ビタミン剤、漢方薬など市販されている薬を保険給付から外す案があるそうです。これは保険制度の趣旨に反し国民皆保険制度崩壊につながると思います。 また、現在は禁止されている「混合診療」が認められる計画もあるそうです。混合診療が導入されると、保険外の費用は我々患者の負担となります。お金のある人とない人で受けられる治療が違うことになるのではないでしょうか。命の大切さは誰も同じです。誰もが最良の医療を受けたいはずです。アメリカは先進国の中では例外的で、公的制度はメディケアと呼ばれる高齢者対象の制度しかなく、高齢者以外は自由診療のため医療費の窓口負担は高額で、多くの国民が民間保険会社の医療保険制度に加入しているそうです。何年か前に聞いたことがありますが事故で運ばれた少年の足の治療で「保険に入っていて医療費が払えるなら足を切断しない治療が出来る。払えなければ切断するしかない。」と病院から言われ、結局お金を工面出来ず切断し問題になったと。自分が治療を受ける時に、子供が治療を受ける時に、お金があるかないかで最良の治療を受けられなかったとしたら、あまりにもむごい。「ここまでは保険で治療できますがこれ以上は自費ですがどうしますか。」「とても良く効く薬がありますが自費です。どうしますか。」ということになるかもしれません。医者も「最善の治療をいたします。」などとは言えなくなってしまうのではないでしょうか。うがった見方かもしれませんが、こんなにも生命保険会社の宣伝が、殊に外資系会社の宣伝があっちでもこっちでも流れ始めたのには何か意味があるのではないでしょうか。 せめてたった一つの命だけは差別なく同じに扱う医療保険制度「国民皆保険制度」で有って欲しいと心から思います。 |
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(上野 ちさと) |