C型慢性肝炎のインターフェロン治療でもっとも手こずるタイプの一つはウイルスの遺伝子型が1型の時です。インターフェロン治療が始められてから15年になりますが、初期のインターフェロン単独かつ短期間の投与でのウイルス消失持続率は数パーセントにすぎませんでした。そして、現在、世界中で標準治療となっているペグイントロンとレベトール併用の48週間治療で、ウイルスの持続消失率は少なくとも50%を越すようになりました。しかし、未だこの治療法では半数近くのヒトが再発して、あらためて治療スケジュールを工夫しなければなりません。 ウイルスの持続と消失率を向上させるためには治療期間を延長することが一つの解決策になるでしょう。欧米では、1型C型肝炎ウイルスに対して48週間よりさらに長期に投与することがおこなわれ、最近は2年間の治療がおこなわれています。治療の延長をするにはそれ相当の証明するデーターがなければなりません。現在の日本の方式を改善する方式がドイツから報告されました(ちなみに最近はドイツやEUから他にもいくつかの報告があります)。インターフェロン治療時にはウイルスが12週以内に急速に消失する場合と24週かかって消失する場合があり、この遅れてウイルスが消失する場合に従来の48週ではウイルスの持続消失を期待できないことが知られています。この報告では、治療を受けるヒトを24週間と72週間の二群に分けて比較したところ、全体の持続ウイルス消失率には差がありませんでした。しかし、治療中にウイルスが12週までに消失した群と12週以降にウイルス消失の遅れた群での治療終了後の持続ウイルス消失率は72週投与ですぐれていました。また、再発は12週以内にウイルスが消失した群では、24週投与と72週投与でそれぞれ15%と12%で差がありませんでしたが、ウイルス消失の遅れた群では24週投与と72週投与でそれぞれ60%、40%で72週投与で低い再発率になりました。従来12週でウイルスが消えないと治療効果が期待できないとされていましたが、さらに24週、合計72週間の治療の有効性が証明されました。わが国の治療方針が速やかに改善されることが望まれます。 |
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(医師 相川達也) |