日本人の食塩摂取量が過剰であるということは広く一般に知れ渡っていることですが、食事を摂る時は忘れられているようです。食事をした後に今食べた物のカロリーを気にする人は多くても、塩分を何グラム摂ったかな、と考える人は少ないようです。
 元来、自然に近い環境では人間はそれほど多くの食塩を摂取する食生活を送ってきた訳ではありません。農耕民族になり、文明社会になるにつれ塩が摂り入れられるようになり、昔は貴重だったものが今ではとても安価に手に入り、口にも入ってしまうようになりました。現在でも原始的な生活をしている人達の食塩摂取量は1日2~3gと言われ、一般的な高血圧という病気は存在しないそうです。食塩の摂取量が多い文化圏では、摂取量に比例して高血圧の数は増加していきます。
 日本は、諸外国よりも食塩の摂取量が多い国です。一時、TVのCMでは日本人の約4割が血圧が高めであるというショッキングな情報も流れておりました。最新の「日本人の食事摂取基準」では1日の目標量として男性10g未満、女性8g未満を掲げていますが、現在ではすべての年齢層で少しですがオーバーしています。この少しオーバーしてしまっている部分を減らしていく為にはかなりの努力が必要になります。又、年齢を重ねていきますと味覚の減退により食塩の摂取量は自然と増加していきます。食事の時は、カロリーと塩分の両方を摂り過ぎないように心がけて下さい。


※次号にて、思いのほか塩分を多く摂ってしまっている食生活について述べたいと思います。
(管理栄養士  立原)