はじめに | |
この検査の正常値の上限は40IU/g (1リットル中の国際単位)だという医師が多いし、肝臓を患っているヒトも、そう記憶していることでしょう。かくいう私も、かつては患者さんにそう答えて、治療の目標の一つとしていました。しかし、インターフェロン治療が開始された当初、インターフェロンを使う基準は肝機能異常があることと、決められていて、長年診てきた患者さんがこの基準に当てはまらないことに気付き、治療をおすすめするかどうか悩まされました。そのうち、インターフェロン治療で、ウイルスが消えた方々のGOT(AST),GPT(ALT)をみると、40どころか、10台、20台になっていることで、長年抱いていたこの検査の正常値がもっと低いはずだという疑問が私のなかでは、自ずと解決されました。今は、“正常値”の患者さんにもインターフェロンを使うことが、権威者の間で、認められていますが、この正常値といったときは、言っている人の頭の中には40以下という従来の概念があることでしょう。正常値40以下という基準で、長年、経過を追っていた患者さんを見ると、時には45であったりして、上限を超えることを経験しています。GOT,GPTは肝細胞の中にある酵素ですが、肝細胞が何らかの傷害を受けると、細胞から漏れ出す、いわゆる逸脱酵素という一連の酵素の種類です。軽い炎症では40という正常限界を前後していると考えられます。このような患者さんを、肝生検をしてみると、いろいろな程度の肝炎であることがわかりました。 正常だから大丈夫と考えて通院している方は革めて、ご自分のGOT,GPTの値を見直してみましょう。正常という言葉に油断しないで、あらためて、主治医に相談をしてください。 図はインタフェロンでウイルスが排除された患者さんの経過です。GOT,GPTの値は10台であります。 |
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図 強力ミノファーゲンCの治療では安定せず、6ヶ月間インターフェロン(イントロンA+レベトール)治療をし、 C型肝炎ウイルスのRNAが消失、トランスアミナーゼも10台となったが、IFN治療終了後2ヶ月で再燃。 その後強ミノを注射し、トランスアミナーゼは40前後に安定したがRNAは安定しなかった。トランスアミナーゼ の値は40前後であったが、完治を目指しIFN(ペグイントロン+レベトール)治療を14ヶ月行い完治した症例。 トランスアミナーゼの値はIFN治療終了後16ヶ月経った現在でも10台である。 |
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医師 相川達也 |