今日、国内最大級の感染症であるB型及びC型ウイルス性肝炎は、インターフェロン治療により、ウイルスを除去することができ、慢性肝炎から、肝硬変症、肝ガンへの進行を抑えることができるようになりました。
 しかし、これまでに、まだ、インターフェロンの治療を受けていない方も少なくありません。その理由は様々ですが、保険を使っても、自己負担が高額であることが治療を受ける障害になっていて、公費の負担を増加する事が待たれていました。また、仕事が忙しく、通院の時間がとれないことも大きな障害です。本年4月から、ようやく、公費助成制度ができ、期待を持って迎えられました。簡単にその制度を説明します。
公費助成が受けられる疾患
・HBe抗原陽性でかつHBV-DNA陽性のB型慢性活動性肝炎で、肝ガンの合併のない方
・HCV-RNA陽性のC型慢性肝炎および、C型代償性肝硬変で肝ガンの合併のない方
とされています。
 公費の助成は1年間で、再度の交付はしません。本年4月から6月までの期間にすでに、治療を開始した方は、さかのぼって、4月からの治療費助成が受けられます。
 助成の対象になる医療内容は、インターフェロン治療とそれに関わる検査料の他、初診料、再診料、入院料、副作用の治療(治療を中止した場合は受けられません)。
 助成対象外になるものとして、肝炎ウイルスの除去を目的としない、少量長期投与、進行した肝硬変、肝ガンへの投与、入院の食事代、差額室料などが挙げられています。助成金額は世帯の市町村民税額により3段階に分けられます(表を見て下さい)
表  月額自己負担限度額
区分 世帯あたり市町村民税(所得割)課税年額 自己負担限度額(月額)
A 65,000円未満の場合 10,000円
B 65,000円以上235,000円未満の場合 30,000円
C 235,000円以上の場合 50,000円
問題点
・助成期間は1年で、それ以上の延長を認めないため、従来の治療成績を超えることはできません。せっかく公費を使うのですから、補助は個々の病状に応じた期間を考えるべきです。
・市町村民税を納付している世帯でも家のローンなどを支払っていると、1ヶ月5万円の負担は重荷ですから、もっと軽減さるべきです。
・通院時間を確保できるような、使用者側の配慮を促すべきです。
(医師  相川 達也)