心エコー検査(UCG)とは、心臓の静的な形態観察法であるBモード法(断層法)と、心筋や弁などの動きに対しての時間分解能があり、その時相解析が可能となる(動きがリアルタイムで観察出来る)Mモード法、そして、心腔内の血流を直接観察することが可能で、それにより血流方向、血流速度、血流量などが計測出来るカラードップラー法などいくつかの画像処理方法を用いて、心臓疾患の病態を評し、病因を検索、心室の収縮機能・拡張機能の評価、心腔内の血行動態の評価を目的とした検査です。
 具体的な症例の画像を提示します。
[症例1]弁の動きについての評価
 撮像方法=Bモード法(断層法)
 図1−1 正常像
 僧帽弁(左心房と左心室の間にある弁)が閉じた時、弁が左心室側に凸となって閉じています。
 図1−2 僧帽弁閉鎖不全(僧帽弁逸脱)
 僧帽弁が閉じた時、左心室側ではなく逆方向の左心房側に凸となっていて、完全に閉じることが
出来ていません(血液の心室から心房への逆流が起こります)。

図1−1 図1−2
[症例2]心筋の動きについての評価
 撮像方法=Mモード法
 図2−1 正常像
 心臓の拍動の周期に同期して、心室中隔と左心室後壁のどちらもその厚さが大きく変化しています(それにより、心臓内腔が広くなったり狭くなったりを繰り返して、血液を全身に送り出しています)。
 図2−2 心筋梗塞
 心室中隔、左心室後壁のどちらも正常像に比べて、厚さの変化が少なくなっています。特に心室中隔はほとんど変化が見られません(血液を全身に送り出す力が弱くなっています)。

図2−1
図2−2
(臨床検査技師  堀江)