肝細胞癌の早期診断のためには、肝硬変などの慢性肝障害患者に対し、定期的に画像診断の検査を行う事が重要となります。また、近年、目覚しい進歩を遂げた各種画像診断を複数組み合わせることにより、スクリーニング検査から確定診断にいたるまでの早期診断体系の成果が確実に上がっています。
 当院においても、超音波検査、CT検査、MRI検査、血管造影検査を組み合わせた診断体系で、肝細胞癌の早期診断に努めています。
 ここに当院においての肝細胞癌の症例を提示します。
【症例 T】

超音波検査(造影前)

造影超音波検査

造影CT-動脈相

造影CT-門脈相

血管造影検査
 肝臓の右葉前区の肝臓表面近くに境界が不明瞭な黒くなる部分に癌の部分が見られる。  造影剤を注入して1分後の画像。同じ部位に、白く綿花状に染まる部分が現れてくる。(写真・・・右)  造影剤注入より約30秒後。肝表面近くに淡い造影効果を認める。  造影剤注入より約60秒後。動脈相で造影された場所は、造影剤の排出を僅かだが認める。  選択的肝動脈撮影。ほぼ球形に造影される癌を観察できる。

【症例 U】


超音波検査

造影CT−動脈相

造影CT-門脈相

MRI検査
 肝臓の右葉前区に、辺縁に細い帯状に黒くなる部分のある円形の腫瘤像が見られる。  造影開始より約30秒後。腫瘤は均一に造影される。  造影開始より約50秒後。中心部は造影効果が無くなり、腫瘤の辺縁がリング状に造影される。  T2強調画像において、円形の高信号を呈する。
(臨床検査技師 堀江)
(放射線技師   大友)