前回は骨粗鬆症と骨量測定について簡単な紹介をしました。今回は骨量が減少し骨粗鬆症になる様々な原因と骨量測定について取り上げたいと思います。
 骨量が減少する原因として次のようなことがあります。

肝臓病

 肝硬変になると小腸への胆汁酸の分泌が減少し、カルシウム吸収を促すビタミンDの吸収が阻害されます。


糖尿病

 インスリン不足は骨を作る細胞の働きを弱めたり、腸管からのカルシウム吸収を促すビタミンDの産生を低下させ、骨量を減少させます。


甲状腺の病気

 甲状腺ホルモンは骨を造ったり、骨からカルシウムを溶かす作用があります。この甲状腺ホルモンの分泌が亢進すると、骨からカルシウムが溶ける方が勝り、骨量が減少します。


腎臓病

 腎臓の働きが低下すると、腸管からのカルシウム吸収を促すビタミンDの産生が低下します。その結果骨からカルシウムが溶け出し、骨量が減少します。


婦人科の病気

 エストロゲンという女性ホルモンは骨からのカルシウムが溶け出すのを抑える作用があります。卵巣機能に異常があるとエストロゲンの分泌が低下し、骨量が減少します。


関節リウマチ

 骨をこわす細胞が活性化して、罹患関節近傍の骨の密度を低下させます。さらに病気が進行すれば、疼痛のために身体を動かすことが困難となり、その結果次第に全身の骨の密度が低下します。


閉経後

 閉経によってエストロゲンの分泌が急に低下してしまうと、骨からカルシウムが溶け出す作用をコントロールしきれず、骨量が急に低下しはじめます。


 骨量の減少を引き起こす原因はホルモンや加齢によるものだけではなく、肝臓病や糖尿病、リウマチといった病気とも非常に関係が深いことが判っています。定期的な骨量測定は骨粗鬆症の早期発見、早期治療に大変有用です。骨の変化が分かり「今回も引き続き骨量が減少しているのか?」「今までの生活でだいじょうぶなのか?」を判断することができます。骨の状態を把握することで、食生活や運動などの生活上の注意を行った予防、あるいは早期治療がはじめられます。
 前回紹介しました通り、骨量の測定にはいくつか種類があります。その中でも超音波式のものは他の検査法に比べ簡単に、そして安全に検査を受けることができます。当クリニックで導入した超音波式では、右足の踵を測定します。検査にかかる時間は5分程度、骨量の測定時間は2秒以内で済みますので非常に簡単です。料金も保険適応(三割負担)で約300円です。尚、骨量測定には予約は要りませんので。当日すぐできます。結果も当日分かりますので、気軽に主治医や看護師に声をかけてください。
 定期的かつ経時的な検査を必要とする骨量測定には超音波式が最適な方法だと考えています。性別・年齢・病気の有無を問わず、三ヶ月に一度の骨量測定をお勧めします。
(放射線技師  石塚)