脳波検査は、意識消失発作、物忘れなどの症状が見られるときに実施する脳の機能検査です。脳に存在する神経細胞全体の活動電位を、頭皮上につけた電極から記録します。脳の形態異常をみる画像検査と併せて実施することで、脳の状態をより正確に把握することができます。てんかん、肝機能低下により起こる肝性脳症、脳卒中後の脳機能、認知症などの評価に利用できます。脳波の判読には専門の知識、経験が必要となり、当院では日本臨床神経生理学会認定医の資格を持つ荒崎医師が行っています。 脳波には基本となる覚醒時、睡眠時の脳波パターンがあります。脳の機能が低下すると基本パターンが現れなくなったり、逆に脳の異常な活動が増えると基本パターン以外の脳波が現れたりします。 ここに当院で記録された脳波をいくつか紹介します。 |
|
【健常者の覚醒時脳波】 | |
健常の覚醒脳波パターンは安静、閉眼状態で後頭部優位にα(アルファ)波と呼ばれる脳波が出現します。 | |
【てんかん脳波】 | |
てんかんは脳の異常な活動により、痙攣発作が起きたり、意識障害が出たりする疾患です。 基本の背景脳波から逸脱した異常脳波が突発的に出現し、これを突発活動と呼びます。 |
|
【肝性脳症の脳波】 | |
肝性脳症とは肝硬変が進行し、血中のアンモニア濃度が上昇したり、体内のアミノ酸バランスが崩れたりすることで起きる意識障害です。重症になると昏睡に至ることもあります。 肝性脳症の代表的な脳波異常である三相性波が出ています。 |
|
【認知症の脳波】 | |
高齢者では、健常者でも少しずつ脳波のリズムが遅くなり、これを徐波化といいます。しかし、認知症の脳波では年齢にそぐわない徐波化や突発活動が認められます。 |
|
![]() |
|
(臨床検査技師 住谷) |