最近マスコミで取り上げられることが多くなったGI(glycemic index)値。血糖の上昇を抑制する事が、細小血管障害の防止に効果があることから、糖質による血糖値の上昇が緩やかな食品を選択するツールとして話題になっています。GIとはグルコース50gの血糖上昇曲線を100として、その食品の血糖上昇を指数化したものです(表)。 表 GI値→ |
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しかし、GI値が低くても食べ過ぎて肥満を招いては意味がありません。逆に高GI値でも一回量や頻度が少なければ大丈夫ということになります。そして、旬の果物の味が濃いことからもわかるように、季節により同じ食品でもGI値に差があります。また、例えば同じうどんでも、煮る時間が長くなるにしたがってGI値は高くなるという調理法の違いもあります。ですから、数値の高低はあまり気にせず、食物繊維の多い野菜、海藻、きのこを一緒に食べる献立の方が毎日の血糖上昇抑制効果として取り組みやすいと思います。 糖質ばかりに意識が行ってしまう人の誤りとして多いのが、主食を食べない食習慣です。確かに主食は食後の血糖を上げますが、重要なエネルギー源です。エネルギー不足はエネルギーを燃焼しにくい体質を作り、たんぱく質をエネルギー源として代用するため筋骨の減少をもたらします。タンパク質は脂質と結びついていることが多く、おかずのみの食事は体脂肪を増やす原因にもなりかねません。 減量に意識が行ってしまう人の誤りとして多いのは、欠食と糖質に偏った食事です。減量や、忙しいなどの理由から朝食欠食あるいは食パンのみ、昼はおにぎり1個などの簡素な食生活で薬に頼った糖尿病治療をしている人もいます。たしかに、肥満ではインスリン抵抗性が増しますが、そのために糖質に偏った食事をしていては何の治療をしているのか分かりません。 そして、細小血管障害による合併症のリスクを下げるために、血糖コントロールだけではなく高血圧、脂質異常が起こらないようにすることも重要です。そのために、減塩をしたり、コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品を控えたり、食物繊維を多く摂ることも必要になります。 糖尿病治療は食事療法単独で行うことはなく、運動療法さらには薬物療法と併用されます。しかし、食事による血糖コントロールは細小血管症の発症、進展を有意に抑制することは証明されており、健康で長生きするための食事と捉え、周囲の人も巻き込んだ食事の改善をしていくことが食事療法を長続きさせる秘訣です。 |
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(管理栄養士 高野) |