今日行なわれている標準のインターフェロン治療はペグインターフェロンとリバビリン併用療法です。 48週間から72週間の治療で、世界的にも約50%の方が、ウイルス排除に成功し、肝炎は終熄した状態になります。 当院での成績ではインターフェロン治療中に78%の方でウイルスが消えます。しかし、消えた方の37%の方は治療終了後2〜3ヶ月以内にウイルスが再出現し再発しています。この再発の場合、再治療で60%の方でウイルスは排除されています。再治療を繰り返すことによりこの数値は更に上がるものと思われます。それでも残念ながら幾つかの報告で、7〜14%の方は治療再開してからウイルスが全く減少しない、真に無効と判定されます。この場合は再治療も無効で、有効なウイルス排除の方法は一般化していませんが、当面、ウイルスの排除ではなく、肝機能検査の正常化を目的に、インターフェロンの少量・長期投与が行なわれています。しかし、昨年末、アメリカのNIHの研究者からこの長期投与では肝機能は正常化したが、肝ガンは抑制されなかったと報告され、臨床家に衝撃を与えています。アメリカと日本の患者さんの年齢が10〜20年異なり、日本では高齢で、それ自体として発ガンのリスクが高い集団ですから、肝機能の正常化を目指す治療が肝ガン発症を抑制できると想定されていますので、インターフェロンの少量、長期投与は意味があると考えることもできます。どちらにしても、日本人のデータをきちんと出さなければなりません。最近、ウイルスの増殖に関与する酵素であるポリメラーゼやプロテアーゼを抑制する薬剤が治験中で、無効の症例の80%でウイルスが排除されたと報告されています。 アメリカのデータもふまえたうえで、無効とされた方は、肝機能の沈静化が短期的には大事なことですから、新たな核酸製剤が使用されるまで、つなぎの治療としてインターフェロン少量・長期の投与を受けられ、次の治療を待たれるのが賢明でしょう。 |
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(医師 相川 達也) |