【どのような病気?】
皮膚や粘膜の表面からキノコ状に飛び出た腫瘤をポリープといいます。消化管のポリープは消化管の内側の表面(粘膜面)から内腔に向かって隆起した肉眼的に明らかな病変と定義されています。消化管では、食道、胃、大腸で問題になることが多くみられます。基本的に悪性でないものをポリープと称しています。

【食道ポリープ】
多くは下部食道にみられ,無症状であるものが多いです。内視鏡的ポリペクトミーが行われます(図1)。

【胃ポリープ】
胃粘膜の部分的な増殖により内腔に隆起した病変のうちで、悪性でないものをいいます。形態学的には山田・福富の分類(図2)が一般的で,T型:隆起の起始部がゆるやかで明瞭な境界を形成しないもの,U型:隆起の起始部に境界が観察されるが,くびれや茎を有さないもの(無茎性),V型:隆起の起始部に明らかなくびれを認めるが茎を有さないもの(亜有茎性),W型:隆起の起始部に茎を有するもの(有茎性)に分類されます。組織学的にはポリープの大部分は,@腺腫(良性腫瘍性増殖)または異型上皮巣と呼ばれている病変,A過形成性ポリープ(非腫瘍性)の2つに分類されます。腺腫の大部分は2p以下で扁平な隆起性病変のことが多いです。癌の合併はまれですが、急速に大きくなる場合、大きさが2p以上などの所見は高危険群として,完全に切除して全体をくまなく調べることをします。このために内視鏡的ポリペクトミー(図1・3)を行うことも珍しくありません。過形成性ポリープは,発赤した光沢のある表面所見を呈しています。腺腫の3?4倍の頻度でみられますが,癌化は極めて稀です。一般的には6か月から1年ごとの内視鏡検査で経過観察していきます。急速に増大するものや大きいもの(2p以上)では,ポリープの一部に癌を含む可能性があることを考慮して,内視鏡的ポリペクトミーを行います。

【大腸ポリープ】
大腸ポリープにもいろいろの種類のものが含まれています。その分類法は腫瘍性と非腫瘍性に大きく分けられます。腫瘍性は本症の大部分を占めるものであり,そのほとんどが腺腫です。非腫瘍性は過誤腫性,炎症性,分類不能とそのほかに分けられます。やはり内視鏡で切除可能なものは切除してよく調べます。

【ポリープの治療が必要な場合】
悪性の部分が含まれると既に診断されている場合や、疑いが濃厚な場合にはポリープ全体を切除します。また、出血の原因になっている場合や消化機能の障害になっている場合などでもポリープの切除が必要です。

【注意点】
以上述べましたようにポリープは基本的には良性です。患者さんによっては‘癌’と同義語とお考えになっている方もいらっしゃいますので、あまり心配されずに定期検査を受けるようにしてください。 
(医師 小島眞樹)