患者さんと食事についての話をしていて、「ご自宅で食事の味付けは濃い方ですか?薄い方ですか?」と尋ねると、男性では半数が女性に至ってはほとんどが「薄いと思う」と回答します。一方、入院されている患者さんの4割が病院食を「薄い」と評価しています。 しかし、当院の病院食の食塩含有量は一日9.4gで、これは日本人の食事摂取基準の9.0gを越えている数値なのです。そのことを話すと、大抵の患者さんは今まで「薄いと思っていた」自分の食事がそうではなかったことに気付きます。 少々わかりにくいかもしれませんが、1日9g(1食あたり3g)の塩分で食べる食事例を考えてみます。 ☆朝食にパンを食べるとします。(塩分量@) ☆昼食は手早くうどんでどうでしょうか?(塩分量A) ☆夕食では煮物を食べたとしましょう。(塩分量B) これで1日合わせたら、塩分はおよそ9gです。しかし、エネルギーの不足と栄養バランスが糖質にやや偏っており、その改善のために、タンパク源(肉、魚、卵、豆・豆腐類)と野菜をもっと多く摂り、エネルギーを上げないとならないでしょう。さらに、高血圧の為の減塩は1日6g未満。例に挙げた食事から、あと3g以上減塩させなければならないのです。 しかし、塩分ばかり気にすると、食事を作るのが楽しくなくなってしまいます。 減塩のポイントはいくつかあり、それらを知ってメリハリのある味付けにすれば食事作りも楽しくなります。 @塩分を含む加工食品の使用回数を減らす(干物、かまぼこ・さつま揚げなどの練り製品、たらこ、ハム・ソーセージ類、漬物、うどん、パン等) A汁ものを減らす(味噌汁や麺類等、汁は残すようにしても半分の塩分は口に入っています) B新鮮な食材と旬な食材で素材からおいしくする C酸味・香辛料・香りを利用する(酸味・辛味に塩分はありません) D油を適量使用する(舌にまとわりつく油は減塩の味方です。しかし、摂りすぎには注意して下さい) E旨味を使用する(ただし、インスタントのだし顆粒はナトリウムで旨味成分を精製しています。顆粒の45%は塩分です) Fお酒や甘いものはほどほどにする(お酒や甘いものの摂りすぎは味覚を鈍らせ、塩分を欲する原因になります) Gまずは一週間挑戦!減塩は次第に慣れて行きます。 焼き肉のしっかりした塩分も、サンチュやレタスに乗せて食べれば、減塩だと考えることができます。煮魚なら、副菜はかぶやきゅうりをもんで、生姜の千切りと和え、酢で爽やかな味にすれば味も色も好相性です。煮魚自体を七味唐辛子煮や山椒煮にして醤油を減らす事も良い工夫です。煮物のだしや汁用として、一日一回まとめて昆布と鰹節で天然だしを取ることも減塩になります。それでも面倒なら、おかか煮や昆布煮など煮物自体に天然のだしになる食材を入れる事も1つの手です。 味の組み合わせや旬の食材で料理を作るなんて、とても料理上手だと思いませんか?減塩上手は料理上手!健康への気軽な気持ちで楽しく取り組むことが減塩を長続きさせる最大の秘訣だと思います。 |
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(管理栄養士 高野) |