 |
6月1日より診察前検査項目にグリコアルブミン(以下GA)が加わりました。簡単に言ってしまうと、ヘモグロビンA1c(以下HbA1c)と同等の項目で、糖尿病の血糖コントロールや治療効果の確認のために検査します。GAとはなにかHbA1cとの違いなどお話させていただきます。 |
 |
GAは血糖(グルコース)とアルブミンが結合したものです。アルブミンは肝臓で産生され、血清中に最も多く存在するたんぱく質です。浸透圧(粘度のようなもの)の維持や脂肪酸・ビリルビン・電解質などを運搬する働きをしています。GAの単位は%ですが、これは全アルブミンのうち血糖と結合しているアルブミンの割合を表しています。基準値は11〜16%で、GAの値を「3」で割るとおおよそのHbA1cの値に換算ができます。 |
 |
HbA1cは採血時から1〜2ヶ月前の血糖の状態(平均的に高かったのか、低かったのか)を表すのに対し、GAは採血時から2週間〜3週間前と比較的最近の血糖の状態を表しています。みなさんががんばった結果がHbA1cよりも早く大きく成果として現れるということになります。主な違いを表にまとめました。 |
表1
|
HbA1c |
GA(グリコアルブミン) |
過去血糖
コントロール状態 |
1〜2カ月 |
2〜3週間 |
基準値 |
4.3〜5.8% |
11.0〜16.0%※ |
測定対象 |
総ての糖尿病患者 |
不安定型糖尿病
妊娠糖尿病 |
影響の出る場合 |
妊娠、貧血、腎不全 |
ネフローゼ症候群
甲状腺機能障害 |
※当院では糖尿病治療ガイド2002-2003に基づいて基準値を設定しております。
|
不安定型糖尿病とは適切な治療にも関らず血糖値の変動が大きいためHbA1cではコントロールし難い糖尿病のことで、短い期間で観察できるGAでの血糖コントロールが有用です。また、妊娠糖尿病は些細な血糖変化でも胎児への影響が大きいため短い期間での観察が必要となっています。影響が出る場合はアルブミンの代謝が亢進する疾患が主で、血糖と結合する前に消費されてしまうので、低値を示します。
表2 〈血糖コントロール評価の目標値〉
|
血糖コントロール評価(単位:%) |
優 |
良 |
可 |
不可 |
不十分 |
不良 |
HbA1c |
5.8未満 |
5.8〜6.4 |
6.5〜6.9 |
7.0〜7.9 |
8.0以上 |
GA |
17.0未満 |
17.0〜19.9 |
20.0〜20.9 |
21.0〜23.9 |
24.0以上 |
|
先にも記しましたが、GAの一番の特徴は、「早く大きく動く」事です。血糖コントロールを頑張った変化が早く成果となって現れます。HbA1cのようにじれったい思いをすることが少なくなるかもしれません。また、GAは糖尿病予備軍やメタボリックシンドロームに特徴的な「食後のみの短時間高血糖」を比較的よくとらえることができ、糖尿病発症予防のための注意喚起にも有用とされています。近年では献血時のスクリーニング検査にも採用されています。
|
|