健常高齢者の約6割に足爪の異常や足部の変形、足関節の痛みや浮腫、足自体の形状異常が起こっています(平成12年度老人保健健康増進等事業)。高齢者の足部、足爪の異常は下肢筋力や平行機能を大きく左右しており、爪変形者の転倒リスクが高いといわれています。

 つねずみに入所されている高齢者は、爪白癬・巻き爪・外反母趾などの形状異常を抱えている方が多くいらしゃいます。白癬によって肥厚し硬く乾燥した爪や巻き爪が爪床溝に食い込み、その周囲の皮膚が炎症を起こした腫脹足などの爪切りは難しく苦労していました。7月23日にメディカルフットケア研修に参加して、爪に関する基礎知識を学び、現在、つねずみの爪ケアに実践しています。
@水虫により肥厚して、角質の溜まっている爪では、足浴を行い血流を良くし、爪・角質を柔らかくします(つねずみでは入浴にて温めます)。
A水分をふき取り、足をタオルで保温します
写真1
B爪をアルコールで消毒し、クロルヘキシジングルコサン酸塩液(殺菌消毒液)を含ませた綿花で、指を覆います
写真2
B爪の間の角質を取り、爪切りを行います。

【正しい爪の切り方】
・爪切りは、直線刃爪切りか、キューティクルニッパを使用します。
・爪は1度に切らないように4〜5回分けて、少しずつ切りスクエアカットにして、角をわずかに切り落とします。爪の長さは、足指の先端に平に物を当てたときに爪が当たらないくらいに切り、その後爪ヤスリで外から内側にそってかけます。

巻き爪の手入れ・アンカービング法】
 足爪の異常の悩みでは、巻き爪の問題を抱えている方が多くいらっしゃいます。巻き爪の原因は、丸く切られた爪・短く切りすぎた爪・靴による圧迫・肥満・外傷による爪母や爪床の障害・下肢の循環障害・爪白癬・遺伝などがあります。巻き爪のひどい方は、テーピングや、爪の角に小さく切ったガーゼを挟み保存的療法を行っています。
 
写真3はアンカーテーピング法といいます。
@爪の周囲にテープを貼り、引きながららせん状に回して置くように貼ります。
Aテープで固定し、さらにサジカルテープ(包帯、ガーゼなどを患部に固定するためのテープ)で皮膚に固定します。

【フットケアの効果
 心身の安楽、下肢保温、入眠促進、下肢血流障害の改善などの効果があります。また、起床前のマッサージは転倒の予防になります。

 人間が自分の足で歩くには、足の裏や足指が大事であり、自分に合った靴を選ぶことで足の変形を予防することができます。今後もフットケアを行うことで、入所者の心身機能やQOL(生活の質)の向上を目指していきたいと思います。
(つねずみ看護師 大森)