
| アレルギー反応とアナフィラキシー 生体には「免疫反応」によって体内に入ってきた外敵を排除する仕組みがあります。 これを「抗原抗体反応」ともいいます。最初の外敵(抗原)の侵入で体内に抗体が作られる(これを感作といいます)ため、同じ抗原が二回目に入ってきたときは反応が急速で強く出ます。この感染などの外敵の侵入に対して抵抗力(免疫)を付けていく働きを利用したのがおなじみの「予防注射」ですが、たまたまそれが生体にとって不利に働くときはアレルギー反応といいます。「蕁麻疹」や「花粉症」がよく知られています。 アレルギー反応には2つのタイプがあります。「即時型反応」と「遅発型反応」です。即時型反応のうち呼吸困難や血圧低下などの全身症状をとるものをアナフィラキシーと呼び、生命にかかわる重篤な状態となることをアナフィラキシーショックといいます。昨年はハチによる被害がたびたび報じられましたが、ハチに刺されて死亡する例のほとんどがアナフィラキシー(アレルギー)によるものです。 ハチ刺されの症状 ハチ刺されの傷害は、ハチ毒そのものの「毒作用」と「ハチ毒アレルギー」の2種類が重なって生じます。ハチに刺されたときまず現れる症状は激しい疼痛(いたみ)、紅斑(発赤)、腫脹(はれ)、掻痒(かゆみ)等ですが、毒成分の注入量が多かったり、頭部や頸部などの場合は毒成分の回りが早いためさらに強い症状としてシビレ感、息苦しさ、口渇、熱感、下痢、嘔吐、頭痛、めまい、ふるえや意識障害などの全身症状が出がちです。複数箇所刺されて毒成分が多量となった場合は頻脈、呼吸困難、痙攣、急性腎不全、横紋筋融解などの重篤な全身症状が現れることがあります。 一方即時型反応の重篤なもの(アナフィラキシーショックを呈するもの)では、数分のうちに呼吸困難や血圧低下、意識障害、心停止などの全身症状をきたし、放置すれば死に至ります。最近では金砂郷町でキノコ採りをしていて刺された人、福島県浪江町で神社の草刈をしていて刺された人が死亡しています(写真1)。実際、日本では年間30人ほどがハチに刺されてショック死していますが、これは熊や毒蛇による被害数よりも多い数です。
ショック対策としての「エピペン」 山林労働者などハチに刺されやすい場所で働く人や、小麦、卵、牛乳など特定の食品や薬物でアナフィラキシータイプの激しいアレルギー反応を起こす特異体質の人のために、「エピネフリン」の自己注射キットが万有製薬株式会社から製品として出ております(写真2,3)。
本体はサインペンのような形をしており、安全キャップを取って先端を自分の大腿外側に衣服の上からカチッと音が出るまで強く押し付けます。そのとき針が飛び出し0.3mgの「エピネフリン」が注入されます(写真4)。アナフィラキシーショックの徴候が出たらすかさず「エピネフリン」を自己注射して急場を免れようというわけです。
「エピネフリン」は「アドレナリン」と同じもので、血管を収縮し血圧を上げ、気管支筋弛緩作用がありアナフィラキシーショックの防止作用があります。これはあくまでもショック死を免れるための応急の処置ですからこの注射で万事OKというわけでなく、急いで受診しなければなりません。使用に当たっては医師から講義を受け、処方を出してもらいます。1万円ちょっとの費用で、残念ながら保険はききません。写真2のようなケースに入っており、これを携行し、いざというときに自己注射します。 詳しく知りたい方は 「アナフィラキシー対策フォーラム(http://www.anaphylaxis.jp/) または「エピペン」のサイト(http://www.epipen.jp/) をご覧になってください。 ちなみに万有製薬株式会社に問い合わせたところ、実際に本キットを使用して救命し得たと思われるケースは、年間国内で30例ほどとのことでした。 「コアクリニック」でも扱っておりますので、斎藤医師にご相談下さい。 |
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| (医師 斎藤 禎量) | ||||